朝起きた瞬間、体のあちこちが痛い。昨日たくさんストレッチをしたのに、首から肩、腕までガチガチだ。
歳をとるとやっぱりこうなるものなんだな、と心の底から納得する。
小学生の頃から肩こりだった。好きなことと言えば、読書と手芸。刺繍や細かいビーズ細工など、座ってじっと机に向かうことばかりしていた。今この程度で済んでいるのは幸運なのかもしれない。
不思議なのは、肩こりを感じない人がいるということだ。
私の祖母は洋裁店で洋服を作る仕事をしていた。パターンを作って布を裁断して、パーツごとにミシンで縫う、裏地をつける、アイロンをかける、などの細かい作業を1日中毎日、何十年も続けていたのだから、さぞかし肩こりに悩まされているんじゃないかと思いきや、「肩なんて、こったこともない」のだそうだ。
なぜ?好きだから?好きだと疲れを感じない、というやつ?
(…いや、私だって好きでやっていたぞ。それでも肩こりだったぞ。)
「慢性腰痛は脳の錯覚」。
初めてこのフレーズを聞いた時「いやいやいやいや、そんなはずあるかい!」と芸人ばりにツッコミを入れてしまった。
「慢性腰痛は脳の錯覚」
=たとえ腰の構造的な異常がなくても、痛みの処理システムが変化することで痛みが脳で「学習」され、「また痛くなるかもしれない」という不安や抑うつから痛みが続く。
実際に、慢性腰痛の人の脳では情動や注意に関わる場所(前頭葉・扁桃体など)が過活動状態になっていて、つまりは、初めは「感覚」として処理されていた痛みが、次第に「感情・記憶」で処理されるようになる、ということらしい。
…え…「痛い」という経験をしてしまったから、「もうこれはこの先ずっと痛い」と思い込む、ってこと?さらに、繰り返し「痛い」思いをするとだんだん神経が過敏になっていって、ほんの少しの刺激でも「痛い!」と感じるようになるんだと。
オーマイガー…なんてことだ。
これが本当なら、「ホントはもう痛くないんだよ」ってことを新たに脳に覚えてもらう必要があるってことか?
実験では、慢性腰痛の人たちに「実はあなたたちが感じてる痛みは脳の勘違いなんだよー」と説明して、不安や恐怖心を減らす心理アプローチと行動療法をした結果、なんと1ヶ月後には6割以上の人が「痛みがほぼ消えた」と答えたらしい。
…なんだか肩の力が抜ける話だ。
本当にそうなら(まだ信じていない)、この説をもっと広めて長年の痛みに苦しむ人々を救って欲しいわ。
人間の脳ってなかなかにポンコツなんだな。信じたくない話だ。
まぁでも、部屋に入った瞬間に何を取りに来たのか忘れるし(1時間前の私)、今日が金曜日だと思い込んで燃えるごみを出そうとしていたし(今朝の私)、ね。
振り返ると、「あぁ、そうでした、ポンコツでしたわ~」って頭をボリボリかく自分。
今聞いたこともすぐ忘れるし、そもそも聞いてるようで聞いてないし、ありもしない記憶を作っちゃったりするもんね。誤作動極まりない。
今まで過信しすぎだったわ。
「ポンコツがデフォルト」。
そのぐらいの感覚でちょうどいい。