今朝、近所をウォーキングしていたら、向こうから3人娘が歩いて来るのが見えた。
しづ子さん、登美子さん、君江さんだ。
8月のお盆の真っ只中、今日は風があってずいぶんと過ごしやすい。薄曇りだけれど3人ともしっかり日傘をさしている。
相談して買ったのかと思うほど、同じような大きさの同じような布製のななめがけバッグを肩にかけて、ちょっと大きめの声で、おしゃべりしながら歩いている。
一番背の小さい君江さんは、この数年で腰が曲がり、歩くスピードがかなりゆっくりになった。けれど本人はそんなことは全く気にしていない様子だ。
買った物を持って帰る為のショッピングカートを後ろ手に引いて、いつも口を大きく開けて笑う。かわいらしいキャラクターものの靴下を履いていて、今日の柄はおちゃめな感じの「アルパカ」だ。
しづ子さんはすらりとしていて背が高い。3人の中では末っ子だ。
数年前までは息子家族が帰省してにぎやかなお盆を過ごしていたが、孫も大学生になり、バイトで忙しいのかしばらく会っていない。
学費の捻出は大丈夫なのか、息子に聞きたいけれどなかなか電話できずにいる。お嫁さんに連絡するのも気が引けるし、どうしたものかしら…とつぶやいていたら、居間から「放っておけ」とぶっきらぼうな声がして、ムッとしていたところだ。
真ん中を歩いている登美子さんは、ずいぶん前に夫に先立たれて以来ずっと一人暮らしをしている。ほとんどの髪が白髪になったけれど、もともとゆるいウェーブがかかった髪質なのでボリュームがある。
手芸が趣味で、最近はフェルトを使ったつるし飾りを作っている。完成したものは、毎週通っているデイサービスの入口に飾ってもらうのだ。「上手ねぇ」と声をかけてもらえるのは張り合いがある。
「お昼、おそばがあったかしらね」
「うちはかぼちゃの煮物の残りがあるわ」
「市原さん、こないだ来てたみたいよ」
3人はこうしておしゃべりしながら、毎日一緒にスーパーに通っているのだ。
夏の日も、冬の日も。
ちょうど私とすれ違うあたりで、それでも3人は私に目もくれず会話を止めない。
あと3分ほどで開店するはずのスーパーに向かって、ゆっくりゆっくり歩いていく。
いいなぁ。
一緒に歳をとっていく仲間、私も欲しいなぁ。
3人がどこでどんな風に知り合ったのか、本当はなんていうお名前なのか。
いつか話しかけて聞いてみるチャンスがあればなぁ。